当所のリスク管理!

リスク管理は、通常はリスクマネジメントと表記されることが多いと思います。当研究所は、マネジメントは「経営戦略にまで及ぶ経営」を含む意味と考えます。当研究所は、現場、臨床、実践的にリスク管理を考え教育のお手伝いさせて頂きます。トップマネジメントの前に、現場、臨床、実践をリスク管理すべきと考えマネジメントと表記せずに「管理」と表記、表現しました。
リスク管理は、40数年前に米国から輸入されましたが、我が国ではあまり普及せずに保険販売の便法として発達し、或いは資格商法の餌食として発達してきました。最近は、東日本大震災、熊本地震などの災害及び、医療事故の多発等により、リスクマネジメントの必要性も叫ばれ大きく変化してきました。特に地域における災害に関するリスク管理及び医療現場のリスク管理の需要が多くあるようですが、あまり実質的な機能は果たしていなしように思われます。

人為的ミスによる事故:
当研究所は、組織、団体の場合は全員参加によるリスク管理を推奨しています。人為的災害、事故は常に後を絶ちません。人間はミスを犯し、ミスを犯すのが人間と考えてリスク管理を考えるべきなのです。どのようにすれば事故等を最小限にし、有るいは無くすことができるかが課題です。ミスや事故が起こらないように確認、注意をしてもミスや事故は起こります。それは作業や事務を人間が扱うからなのです。ですから、作業者や担当者がミスを犯す人間としての本質があるという前提に立ってシステムや制度づくりをしなければならないのです。昔、印刷工場で断裁機で指を落とす事故が多くありました。その後の断裁機は印刷物をセットして両手でスイッチを入れなければ刃が下りない構造になりました。現在はさらに進んだシステムになっています。これは、人間はミスを犯す、事故は起こり得るとの前提に立った意識からミスを犯させないように断裁機を改良したのです。ここに、リスク管理の原点があると考えます。

「ミスを犯すな」「確認をしろ」「事故を起こすな」と、どんなに指導しても教育をしても人はミスを犯し、事故を起し、また事故は起こります。
人の中には必ず泥棒をする者がいます。だから泥棒ができないシステムにするのです。人はミスを犯す、だからミスを犯しても事故が防げるシステムにする。これがリスク管理の原点なのです。

自然災害に対するリスク管理:
東日本大震災は本当に自然災害だったのでしょうか。もし過去のデータに基づき行政が対策を打っていたら被害も少し低減されていたかもしれません。また、地域の人々にもう少しのリスクに関する教育が行われていたら被害が低減されていたかもしれません。過ぎた被害も時間も取り戻せません。東日本大震災で亡くなられた方々の冥福を祈り二度とこのような惨事が起きないようにすることが大切だと考えます、そのことは又地震災害は起こり得るとの前提に立って行政や地域が対策を立てなければならないことなのです。
福島原発事故は、震災の前にすでに多くの研究者、学者が危険である旨を東電に伝えてありましたが東電の大きすぎる組織に打ち消されてしまいました。リスク管理対策室は、組織長(社長等)の直属に置かなければ機能しない教訓であったと考えます。
自然災害は必ず起こります。それに人災が加われば被害はさらに拡大することは当然です。人は保守的で現状維持を固執して守ろうとします。事故を防ぐための改善提案をすれば一笑に付されて提案はもみ消されてしまいます。
一例をあげますが、第一次石油ショックの時に、某メーカーの末席の取締役が石油が紛争等で輸入できなくなった時に備えて石油の備蓄をしてはどうかとの提案しましたが、多くの取締役は一笑に付そうとしましたが社長の鶴の一声でその取締役の提案は取り入れられました。その後に第一次石油ショックが起きましたが某メーカーのみラインを止めずに済んだことがあります。リスク管理は想像力と実行力が必要です。普段から人間としての想像力をいかに発達させ鍛えて行くかが大切なのです。そしてリスク管理のみではなくその発達した想像力と感性は延いては発明等に結びつき組織の発展へとつながるのです。リスク管理は決して守りの管理ではありません。積極的な建設への管理へと築きあげて行くことこそ大切だと思います。

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